日本にも難民が暮らしていることを知ってほしい
「難民と聞くと、多くの方が内戦や紛争のため国を逃れ、海外のキャンプで生活している人々の姿を思い浮かべることでしょう。もちろんその認識は間違いではありませんが、実は難民の定義とはもっと広範囲なものなのです。
人種や宗教、政治的意見の相違など、母国を余儀なく離れざるをえない人々はみな難民です。第二次世界大戦下、ナチスの迫害により国を逃れたアインシュタインも難民のひとりだったのです。日本にもアフリカやアジアなどさまざまな国からたくさんの難民が逃れてきています。この国に難民が暮らしていることは、残念ながらまだまだ一般的に認知されていないのが実情です」
NPO法人「難民支援協会」の専門調査員・石川さんによると、昨年、日本で難民申請を行った人は約400名。うち認定された人は50名足らずにすぎない。国から法的に保護され、難民として認定を受けることは至難の技なのだ。
1999年に活動を開始した同協会は、日本に来る難民を法的なアドバイスから生活全般まで一貫して専門的・総合的に支援する活動を実践している。
国連UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)ともパートナーシップを組み、難民申請書類作成のお手伝いから、住居探しまで難民が日本で自立した生活を安心して送れるよう、これまでさまざまなアプローチを行ってきた。
PCスキルの習得で情報格差をなくす
「生活支援を行うなかで大切なことは、いかにして難民たちの情報格差をなくすかということです。言語も生活環境もまったく異なる社会に身をおいたとき、唯一頼りになってくるツールはやはりPCなんですね。インターネットから情報を得ることはもちろん、難民同士でのコミュニケーションの確立、情報共有においても欠かせない存在となるはずです」
難民みずからもPCスキルの習得には積極的だったという。事務所内のPCの前で、スタッフにレクチャーを求める難民も数多くいたそうだ。
「彼らの熱意に応えたい思いはありましたが、問題は言語でした。パソコンの利用方法を伝授するにも、初期段階として本人の理解可能な言語で操作することができないため、パソコン教室自体の開催が難しかったのです」
そんななか突破口を開こうと2005年11月、難民のPCトレーナーを育てるプログラムを考案、ミャンマー出身の女性をIT講習会に送り出した。
母国でおおまかなPCスキルの基礎を習得していた彼女は、日本語のクラスに参加し、同時通訳者のもと文書作成ソフトウェア「マイクロソフト ワード」の講義を受けたという。
「一回目の講義が終わって通訳者から要請があったんです。彼女はワードの基礎的な扱い方を心得てはいるものの、ツールバーやヘルプが日本語表記なために操作が遅れ、講義を受けるのが困難なのでなんとか良い方法はないものか、というものでした。そこで、二回目以降から『マルチ・ユーザー・インターフェイス』(MUI)をインストールすることにしました」
MUIで言語の壁を乗り越える
同協会は社会貢献プログラムなどを通し、、かねてよりマイクロソフト株式会社のU社から各種サポートを受けておりUPプログラム(※1)を通して、この時期、10ライセンスの他言語のユーザー インターフェイスである、Office 2003 Editions with MUI (Multilingual User Interface) MUI(※2)の寄贈を受けており、を提供される予定があったのだという。この導入が功を奏した。
「33 言語ものユーザーインターフェイスの表示が可能なアプリケーションですので、その利便性はおおいに役立ちました。
まず講習を受けた彼女は、MUIのおかげでワードの使い方の可能性が広がったと大喜びしていましたね。自宅でも復習し、講習が終了する頃には、ミャンマー語でオリジナルのワードマニュアルを完成させたほどでしたから。
昨年12月から始めたパソコン教室でも、確実に成果は出ています。とりわけ漢字を理解せずには操作にさしさわりがある、「編集」「保存」などの初歩的な段階を、MUIの多言語化により壁を乗り越えることができたので、難民ひとり一人の学習能力をアップすることができました。ニュースレターづくりに挑戦するなど、情報発信に熱心に取り組む参加者も増えました」
いっぽうで、母国語ではない英語で操作することにより、英語の勉強にも役立ったという参加者や、IMEパッド(※3)を利用し逆に日本語の勉強に役立てている参加者もいたという。同協会では、今後、参加者の意見もふまえ、より充実した内容の講習会を目指していきたいという。
※1 UP(Unlimited Potential) プログラム マイクロソフトがNPOと協働で世界各国で展開している取り組み。誰もがITの恩恵を享受できる社会の実現を目指し、これまでITを活用する機会があまりなかった方々にIT研修を提供。 詳細はこちら。
※2 MUI(Multilingual User Interface) マイクロソフトオフィスのインターフェースとヘルプを、50以上の複数の言語で表示したり、他の言語でドキュメントを作成したり編集したりできるようになるソフト。
※3 IMEパッド ペン入力が可能なIMEパッド(かな漢字変換ソフト)。
【紹介】
| 団体名 |
特定非営利活動法人 難民支援協会 |
| 団体事務所 |
〒160-0004 東京都新宿区四谷1-7-2第二鹿倉ビル4階 |
| TEL : |
03 (5379) 6001 |
| FAX : |
03 (5379) 6002 |
| Email : |
info@refugee.or.jp |
| URL : |
http://www.refugee.or.jp/ |
| 代表者 |
代表理事 中村義幸 |
| 活動開始年月 |
1999年7月 |
| 主な活動分野 |
人権/平和、国際協力 |
団体の使命、目的
「難民が、日本で、自立した生活を安心して送れるよう支援する」ことを使命に掲げ、日本に来る難民を申請から自立まで一貫して専門的・総合的に支援する活動を実践している。更に直接支援にとどまらず、政策提言や市民への広報を通じ、難民保護制度の充実と多文化共生社会づくりを目指している。
団体の主な活動
- 難民への法的支援・人権保護(難民認定申請手続の補助など)
- 難民への生活支援(住居、医療、就労、生活情報の提供や各機関の仲介など)
- 調査研究(諸外国の事例研究、日本での難民生活状況調査など)
- 政策提言(日本の難民認定制度の改善提言など)
- 難民についての広報活動・人材育成(諸催事の開催、各種メディアへの協力など)
【 ITデータ】
かかる時間
目安となる費用
- 0~25万円
- 【費用を抑えるコツ】
- 企業等にアプローチをして、処分が決定した(かつ質のよい)中古PCを入手する。
必要なITスキル
- OS及びMicrosoft Officeのインストールの知識
必要なITインフラ
- PC - 必要なだけ
- MUIのMicrosoft Windows - PCの台数分
- MUIのMicrosoft Office - PCの台数分
下準備
- MUIの提供する33ヶ国語の中でインストールしたい言語をあらかじめ決めておく。
- インストールをするPCが複数台数に上る場合、PCを置く場所の確保。
工程
- PCの入手
- MUIの入手
- インストール言語の決定
- 電源・インストール実施場所の確保
- (必要に応じて)ボランティアの方の確保
- ソフトウェアのインストール ※通常より時間・手間が若干かかる
ワンポイントアドバイス
- インストールする言語の入力方法をあらかじめ知っている人が実施する方が、動作確認を行う上でもスムーズ。
- インストールする前にあらかじめ言語のニーズ等を調べ、インストールすべき言語を確定しておくと便利。
投稿日
2007/1/3 (水)
投稿者:
マイクロソフト
タグ: NPO, IT活用事例